視能訓練士の皆さん、学生の時や働き始めの頃はGPに悩まされたのではないでしょうか?
僕は普通の人以上に悩まされました。
なぜかと言うと中学生の時からベーチェット病なので普通の人の半分ぐらいしか視機能がないからです。
暗闇だと全然見えないですし、眼内レンズが入っているのでピント合わないし、ホント嫌いでした。
スタンドライトで手元を照らしてみたり、自分で最適に合わせた遠近眼鏡使ってみたり。
結果として全然パフォーマンス上がりませんでした。
僕の研究の専門は緑内障の機能と構造(視野とOCT)なのですが、大学院生のときにこの爆速の測り方を思いつきました。
この記事を参考にするにあたり心得て欲しい事は、
・厳しい上司が監視している所では絶対にやらない
・学生さんは実習でやったら間違いなく後ろから叩かれます
の2点です。
今回の記事では、根拠に基づく爆速の計測方法の他に、GPのちょっとした勘違い、という事も書いてあります。
良かったら参考程度に読んでください。
ゴールドマン視野計を爆速で測れるようになる方法
いきなり答えを言います。
あのひょろっと長い筒を覗かない事です。
えっ??お前正気か??
と思うかもしれませんが、安心してください、正気です。
ちゃんと説明いたします。
どうやって固視を監視するのか?
答えは、静的視野検査で使用されている、Heijl-Krakau法(盲点刺激法)を使います。
ここで簡単に説明すると
Heijl-Krakau法(盲点刺激法)
中心の固視灯を見ていれば、視神経乳頭の位置に値する15度耳側、1.5下方に視標を呈示したらみえないはず。
もし視線がズレていたり、動いていたら視標呈示に反応する。
というのがHeijl-Krakau法(盲点刺激法)です。
固視不良に関しては以前の記事に書いてあるので参考にしてください。
今日はハンフリー視野計の信頼性指標の3つ
固視不良 Fixation Loss: FL
偽証性 False Positive: FP
偽陰性 False Negative: FN
を復習したいと思います。
[…]
ハンフリー視野計をやっている時に、「ピピッ」って警告音が鳴ると焦りますよね。
特に1人で 2,3台動かしているときですね。
警告音の95%くらいは「コシフリョウ××」となったため鳴りますよね。
この時に現状確認もせずに「検査中まっ[…]
静的視野では、視標サイズ III、GPでは視標サイズ V と I が使用されています。
もしGPで視標を呈示するなら I で計測しているときが良いです。
V だと盲点の大きさに対し、視標も大きくなるので、視標の破片が見えて反応することがあります。
実際の計測方法
基本に忠実に進めると、はじめは V/4 で一周計測し、イソプターを囲みます。
その後 I/4 で一周測ると思いますが、僕はここで一気に盲点の測定をします。
測定が終わったら直ぐに塗りつぶし、盲点の位置と大きさを分かりやすくします。
後は計測している時に、10回に1回くらいの頻度で盲点に視標を静的に呈示します(大体1-2秒間)。
もし反応があったら、筒を覗いてみてください目が動いています。
静的視野の様に0.2秒の呈示では、視線の動きを拾えきれないことがあるので、長めに呈示すると良いです。
実際にやるとわかるのですが、控えめに言って分単位で検査時間短縮できます。
時間短縮できる理由
・次の視標呈示のきりかえが早くなる
・1つの事に集中できる
新人の時に上司が片目で覗いて片目で検査用紙をみて計測するのよ。
って仰っていましたが、絶対にどちらかの目に抑制がかかるので、検査用紙に意識がいっていたら、固視監視は十分にできません。
こんな無理なことに励むよりは、GPにも Heijl-Krakau 法を用い、精度を落とさず爆速で測れるようになった方が良いです。
基本に忠実な上司や学校の先生の前でこれをやると、間違いなく怒られると思うので、ご自身の立場と空気をしっかり把握してくださいね。
個人的にはいつか認められる日が来ると信じています。
GPのちょっとした勘違い
今回の標題とはちょっとズレますが、GPで勘違いしていることが多いなと個人的に感じます。
以下に視野の専門家の観点からちょっとだけお話しします。
勘違い1:微細な変化は捉えられない
この辺は計測している視能訓練士の皆さんなら分かると思います。
計測している人の技量によって結果がかなり変わります。
ダイナミックに変化していたら有用ですが、軽度な進行の有無を判定するのは難しいです。
勘違い2:30度内のGPはそんなに重要ではない
計測が中心に近づくと、よし、そろそろレンズ入れて気合い入れて測るかな!ってなっていませんか?
GPの主な目的は周辺視野がどれくらい残っているかを把握するためにあります。
30度以内であれば静的視野検査の方が情報量が多いのでそちらを重要視した方が良いです。
そのため気合い入れて測るべきところは、30度より周辺の視野検査です。
勘違い3:高齢者ほどGPは向いていない
よく、この方はご高齢だから体力的に静的視野は無理でしょう。GPで宜しく。
なんてセリフ聞いたことありますか?
周辺の視野をささっと測って、どれくらい視野が残っているか把握するだけなら高齢者に有用です。
ただ、周辺から中心まで完投するGPであれば、時間もかかり、高齢者はクタクタです。
静的視野検査が可能なくらい視野が残っていれば、途中で一時中断して休みながら静的視野検査をやった方が有益です。
どうしても周辺視野も知りたいのならハンフリー視野 60-4 が有用です。
ハンフリー視野計の中に、周辺視野を計測するプログラムがあるのをご存知ですか?
学生の時に講義で聞いたなというレベルかもしれません。
しかし、意外と使えるので今回は測定方法と結果の見方をご紹介したいと思います。
GPよりも早く終わり[…]
計測時間も5分から8分で終わります。
勘違い4:一番知りたいところを先に測るべき
疲労現象(Fatigue Effect)って知っていますか?
疲労によって結果が悪くなることです。
こちらははらちゃんが良く引用する論文なのですが、静的視野検査中に感度の低下を計測した研究です。
だいたい6分を超えたあたりから、実際に予測される感度から低下し始め、10分くらいしたら顕著に現れます。
さらに、この疲労限総省は年齢が関係します。
中心視野が終わって確認のためもう一度周辺を測るなんてした場合、疲労現象によって結果が大きく変わってドツボにはまった経験ありませんか?
まさに疲労現象です。
検査をする前に、この患者さんの一番知りたい情報な何かを予習し、そこを重点的に最初にやりましょう。
さいごに
今回は、GPを爆速で測るための方法をご紹介しました。
また、ちょっと勘違いしているかなぁといった内容もお話しさせて頂きました。
実は海外ではGPは臨床で使われません。
日本のお家芸かもしれません。
海外で爆速GP見せつけたら絶大な信頼を貰えるかもしれませんよ!
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