医療現場では常に感染症対策が徹底されていますが、コロナウイルスが流行ってから更に対策が厳重になりました。
毎回のように手指や器具の消毒を繰り返しているので皆さんの手先はガサガサになっていると思います。
またコロナウイルスの流行に伴い、院内の機器や設備の感染症対策を見直した所も多いと思います。
さて、皆さんの施設に必ずあるハンフリー視野計ですが、クリーニング方法知っていますか?
ドーム内の汚れは視野計測に影響を及ぼすので、ドーム内では喋らせないことが基本なのは皆さんもご存知のことでしょう。
ドーム内はファンが回っているので、基本的に空調は良い方です。
ただ、あご台、応答ボタンの他にドーム内も定期的に消毒・掃除したいですよね。
今回の記事では、ハンフリー視野計の製造元であるカールツァイス社が公式に発表しているクリーニング方法をご紹介したいと思います。
結論としては、あご台や応答ボタンは簡単にアルコール消毒ができますが、ドーム内は気を付けて下さい。
といった感じです。
尚、本記事は医療従事者向けの記事になっております。
ハンフリー視野計の掃除方法
コロナウィルスが流行らなくとも、我々は毎日感染症対策で器具を清潔に保ってきました。
特に、肌が接触する検査台、椅子、あご台、応答ボタンは毎回アルコール消毒をしているかと思います。
これらの部位はプラスチック素材なので比較的色々な濃度のアルコール消毒をしていたと思います。
しかし、メーカー推奨は70%イソプロピルアルコールです。
正直なところ、ひらちゃんも知らなかったので今日から70%イソプロピルアルコールに徹底します。
それで、ドーム内にもこの70%イソプロピルアルコールを使用するとのことです。
今回参考にしたのは、ツァイス社のweb上の資料になります(サイトは医療従事者向けです)。
ここにPDFになったマニュアルがあるので参考にしてください。
☟☟☟ 詳細はこちら ☟☟☟
ハンフリー視野計のドーム内の清掃
用意する物
・70% イソプロピルアルコール
・スプレーボトル
・A4用紙 2枚
・レンズ拭きまたはクロス
ちなみに、ツァイス社が国内テストで使ったボトルはこちらです。
① レンズフォルダーの格納
レンズフォルダーが出たままだと掃除が行いないので下に下げます。
② 光学部のカバー
あご台と額当ての後ろ(ドーム側)には超繊細な光学部品があります。
顔突っ込んで見ると確認できます。
ドーム内の掃除の際、70%イソプロピルアルコールをミスト状にしてドーム内表面に吹きかけます。
その時にここを万が一の事態から防がないといけないのでこのようなA4用紙等でカバーします。
ペーパーカバーのテンプレートはツァイス社のweb上からダウンロードできます。
ペーパーカバーを折り、ハンフリー視野計に装着するとこんな感じになります。
③ イソプロピルアルコール噴射
ここからは十分に気を付けて下さい。
車より高い機械なので壊した日には大変なことになります。
額当ての方のペーパーカバーはひらひらしているので、手で抑えながら噴射します。
この際勢いよく沢山噴射すると大きな水滴ができて下に流れてしまいます。
表面が軽く湿る程度です。
④ 拭き取る
柔らかいクロスと言われても良く分からないので、ツァイス社が推奨している物の中の1つであるメガネ吹きを使いました。
ここでも注意が必要なのですが、こすらないことです。
ドームの表面はプラスチックではなく、光を均等に反射させるための材料が使われています。
ごしごし擦って表面に傷がつくと、反射が不均等になってしまいます。
そのため、クロスに70%イソプロピルアルコールを直接つけて、家の掃除のようにそれでゴシゴシするのは良くありません。
表面を湿らせて、優しく拭き取るのが基本です。
⑤ 換気して終了
若干匂いが残るので直ぐに患者さんを検査すると匂いが苦手な人は体調が悪くなるでしょう。
匂いが消えるまで数分間換気した方が良いかもしれません。
視野検査は絶対暗室?
視野検査をする際、カーテン等で仕切って完全な暗室を作っていますよね?
しかし、コロナウィルスが流行ってから換気を徹底しないといけないので、カーテン閉めっぱなしは良くありません。
でもカーテン閉めなきゃ検査できないでしょ?と思っている方に実は完全に暗室にしなくても良い理由を説明します。
結論を言うと、静的自動視野計は大体暗ければOKで、ゴールドマン視野計はある条件をクリアすればOKです。
静的自動視野計
静的自動視野計は、完全暗室でなくても少しくらいの照度の変化には自動で対応します。
なので、完全にカーテン等で仕切らなくても、部屋が殆ど暗かったらその明るさで背景輝度を自動で調節します。
コロナ対策で換気をしていると思いますが、カーテンを開放し、部屋を暗くしていれば計測できます。
患者入力をしてセットした時に問題なく計測画面になれば計測に支障はありません。
ただ対応しきれないほどの光が入っているとエラーメッセージがディスプレイに表示されます。
そのエラーメッセージが出ない程度の明るさであれば問題ない事になります。
ゴールドマン視野計
ゴールドマン視野計はある条件をクリアすれば問題ありません。
ゴールドマン視野計に関してはマニュアルで輝度調節しないといけません。
計測したい明るさで輝度調節を行えば一応大丈夫です。
ただ、ダイナミックレンジが狭いのであまり明るくなると視野の形が変わるので注意してください。
さいごに
今回はハンフリー視野計のドーム内の掃除方法について説明しました。
ドーム以外は毎日頻回に消毒していますが、意外と手を出しにくいのが視野計のドーム内だと思います。
基本的にドーム内は汚れませんし、そんなに高頻度で掃除しない方が良いと思います。
もし心配な方は業者の方を読んで一度掃除しているところを見学させてもらうと良いかもしれません。
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