6月に毎年恒例のインパクトファクター(Impact Factor: IF) が発表されます。
その際インパクトファクター(IF)がついている全分野の雑誌が一気に公開されます。
各分野で再度検索する必要があり面倒ですよね。
毎年この時期になるとせっせこインパクトファクター(IF)をまとめております。
最初は完全に自分が使う目的でしたが、反響が良かったので皆さんに無料でシェアしたい思います。
2005年度からまとめてあります。
眼科、特に臨床分野に特化していて恐縮ですが、ご活用して頂けたら嬉しいです。
☟☟☟ IF一覧表はこちら ☟☟☟
インパクトファクターをもう少し詳しくという方は続きをどうぞ!
インパクトファクター(IF)って何?
インパクトファクター(IF)を日本語にすると難しいのですが、「雑誌の重要度」でしょうか。
例えば、日本語で書かれた学術誌でも、雑誌の種類によって書いてある「内容の質」が違うと感じませんか?
ここで言う内容の質とは、「おー、これは最新の話題で、臨床にも研究にもめっちゃ役立つ」ということです。
役立つ研究成果が載っている論文をご自身の研究論文に引用すると思います。
すなわち、引用が多い論文を載せている雑誌ほどインパクト(重要度)があるということになりますね。
これを客観的に数値化したものが「インパクトファクター(IF)」です。
インパクトファクター(IF)の計算方法
IF = 過去2年間の引用総数 ÷ 過去2年間の掲載論文総数
新規性且つ有用な論文を、厳選して掲載している雑誌ほどIFが高くなります。
反対に多少質が低い論文でもバンバン受理するような雑誌はIFが低くなります。
この原理が分かっていると、雑誌の今後の傾向が分かります。
例えば、専門分野のオープンアクセスの雑誌は基本的にインパクトファクターが低い傾向にあります。
理由
- 掲載費を払えば大した内容じゃなくても、間違いがなければ掲載される
- 引用する母集団が少ないのに掲載本数は多い
多分野のオープンアクセスの雑誌はそこそこのIFを保ちます。
何故なら引用する母集団が多いからです。
でも掲載費で運営しているので、科学というよりは掲載本数(経済的利益)が優先されます。
その結果そこそこのインパクトファクター(IF)を保ちますが、徐々にインパクトファクター(IF)は下がる傾向があります。
インパクトファクター(IF)が付くまで
上記の式を見れば一目瞭然ですが、新しいジャーナルが発刊されて直ぐにインパクトファクター(IF)が付くわけではありません。
最低でも2年かかるので、発刊されて3年目の6月に初めて付きます。
大学院の修了条件で良くあるのは、
最低でもインパクトファクター(IF)が付与されている雑誌への掲載が主論文の条件
です。
大学院の主論文を新しいジャーナルに投稿するときは、雑誌が発刊された年数に気を付けて下さいね。
何でインパクトファクターが必要なの?
日本と海外では少々捉え方が違うのでその辺踏まえて説明したいと思います。
日本でIFが必要とされる場合
日本ではそんなに重要視されていない傾向にあります。
でも唯一挙げるとしたら大学の職位に関する時かなと思います。
大学教員には、助教、講師、准教授、教授とあります。
大学という機関では研究業績も必要になります。
その際、客観的な数値があることによって「結果を残している」という判断材料になります。
しかし、残念なことに日本は年功序列や仲良しこよし主義が未だに根付いています。
そのため「とりあえず英語論文があればよい」といったハードルの低い設定の所が今でも多いです。
結局、自分達で研究室を運営しなくても、大学が何とかしてくれる環境がこうしてしまうのでしょう。
日本で開業したり、臨床しかやらない人にとってインパクトファクターは全く必要ないものです。
海外でIFが必要とされる場合
海外では結構判断材料に使われます。
海外では大学からの支援は最小限で研究費を外部から獲得して研究室運営していかないといけません。
その研究費を獲得するにあたって重要なのが研究業績です。
ここで皆さんが研究費をを融資する側になって考えてみて下さい。
10人の中から、3人に研究費を支援する際、その研究費を使って世の中のためになる研究を行っている人に与えますよね?
例えば、以下のような2タイプの研究者がいるとします。
① インパクトファクターが低く、そこそこの研究者
② インパクトファクターが高く、質の高い研究者
研究費は後者に支給されるのは目に見えていると思います。
海外では研究室を運営していくのに、IFの高い雑誌に載るような質の高い研究が重要視されます。
大学側も教授を採用する際、研究資金を獲得できるくらいIFを持った人を雇わないと大変なことになりますからね。
海外に留学したり、お仕事をしたいと考えている方は、IFの高い雑誌に掲載されるような研究を心がけましょう。
きっと凄い武器になります。
インパクトファクターに拘る訳
ここからは完全に個人的な意見です。
研究業績の可視化
臨床では、患者数、検査料、手術件数、収益などで貢献度を数値化できます。
研究ではそういった指標がインパクトファクター(IF)以外にありません。
英語論文の本数という捉え方もあると思いますが、今はハゲタカジャーナルが沢山あります。
なので本数だけでの評価も難しいです。
そのため IF で数値化して可視化するのは良い方法です。
研究者としての質の判断
インパクトファクターの高い専門分野の雑誌に掲載されれば、その研究の質は高いと評価して良いと思っています。
その理由は以下の2つです。
IFと研究の質が比例する理由
- ちゃんとしたレビューワーが査読している
- 沢山の投稿の中から厳選されている
インパクトファクター(IF)が高い雑誌は、論文を査読するレビューワーを厳選しています。
僕は眼科領域で世界最高峰の Moorfields に留学していました。
その時のボスは Lancet にも筆頭論文があり、眼科領域ではトップクラスの方です。
ボスは結構な頻度でトップジャーナルの査読をしていました。
僕のような ペーペーのところには来た試しがありません。
カナダで仕事をしていた時のボスも緑内障の分野では知らない人がいないくらいトップクラスの研究者です。
やはりボスの所にも頻繁にトップジャーナルから査読依頼がきていました。
またトップジャーナルと三流ジャーナルでは投稿本数が違います。
論文投稿をした方なら分かると思いますが、投稿するとIDが付与されます。
トップジャーナルの通し番号は物凄い数です。
その一方で三流ジャーナルは大した数ではありません。
そう考えるとトップジャーナルに掲載された論文を沢山持っている研究者は質が高いと判断できます。
インパクトファクター(IF)の注意点
インパクトファクターは完璧な指標ではありません。
分野による違い
先ほどの IF の計算式を思い出してほしいのですが、分子が過去2年間の引用総数です。
雑誌の分野がコアになればなるほど、引用する母集団が減ります。
そのため、基礎系の雑誌で多分野が関わってくれば引用数が多くなり、インパクトファクター(IF) も上がります。
ひらちゃんの分野は眼科なのですが、母集団が多くありません。
そのため、眼科の分野では インパクトファクター(IF) が3以上付いている雑誌は優秀といわれています。
1本あたりの平均 インパクトファクター(IF)
先ほどもお話ししましたが、英語論文の数だけで判断しないために必要になる考え方です。
IF 0.5-1.0 のハゲタカジャーナルに内容の薄い論文30本と、IF 3-5の雑誌に10本載せた場合を例にしましょう。
後者の方が1本あたりの平均IFが高くなりますよね。
こちらは慶應義塾大学の眼科学教室のHPからの引用です。
真ん中の列に論文1篇あたりの平均値が出ています。
年間の本数がこんなにあって、平均値が2後半から3を超えているのは凄いですね。
研究の質の高さが一目瞭然です。
First, Second, or Correspondence IF
個人的にはこれを一番重要視しています。
なぜなら、日本の論文は名前だけ載っている人が多いからです。
正直研究に一番貢献しているのはこの3人だと思います。
これを算出すると大体その人の研究能力に比例します。
さいごに
今回は眼科系海外雑誌のインパクトファクター(IF)一覧表とIFの個人的な考えをシェア致しました。
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また日本国内における眼科領域の研究助成金一覧表もまとめてあります。
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